建物内の温度が外皮の貫流熱だけで決まるときのこの温度を、エクセルで簡単に計算する方法を記します。
ここで、外皮とは天井、壁、窓、床のことを、貫流熱とは室内と室外の温度差に伴い外皮を通過する熱量のことを言います。
計算には以下の3つの値を使います。
①外皮の面積 A [㎡]
②外皮の熱貫流率 U [W/㎡K]
③外皮の境界温度 T [℃]
これら値から定常時の建物内の温度Ti を求める概要は次の通りですね。
・建物外の温度をToとすると、ある「外皮から建物内側に貫流する熱量」H [W] は次の式で表せます。
H = U・A・(To – Ti )
・定常時は、すべての「外皮から建物内側に貫流する熱量」の和が0になります。
∑ ( U n ・ An ・( Ton – Ti ) ) = 0 (本式を「熱収支式」と言います。)
ここに、添字n :天井c、壁w、窓g、床f
.・上式から、左辺を建物内の温度Ti である、簡単な四則演算の変形式が作れます。
Ti = ∑ ( U n ・ An ・ Ton ) / ∑ ( U n ・ An ) [1]
[1]式を使うと、例えば平面6m角、天井高さ3mの建物内の温度が、下図のようにエクセルで簡単に解けます。

図1
[1]式を応用するとここでの室温だけでなく、色々なことが検討できるので、式を感覚としてぜひ体得してほしいと思います。
[1]式右辺の分子 ” ∑ ( U n ・ An ・ Ton )” は①建物内が0℃の時に建物外から流入する熱量を表します。分母” ∑ ( U n ・ An )” は②全外皮からの熱の逃げやすさを示します。
計算したい定常状態の室温がTi 時、建物外から流入する熱量と建物外へ流出する熱量がバランスしますので、次のような関係式が考えられます。
①建物内が0℃の時に建物外から流入する熱量
= 実際の建物内は0℃でなくTi ℃なので、建物内0℃の仮定で流入し過ぎた熱量
(= ②全外皮からの熱の逃げやすさ ✕ Ti )
ここから日本語を除くと、① = ② × Ti 。 簡単な式変形で、室温Ti = ① ÷ ② になりますね。
仮に、建物の外皮の外が全て25℃だと、建物内は25℃になることは明らかですね。
「外が全て25℃」を[1]式に当てはめると、
建物内の温度は、 25 × ∑ ( U n ・ An ) ÷ ∑ ( U n ・ An ) =25℃ になります。
仮に、天井を鉄板1枚にすると、建物内は30℃に近づきそうですね。
「天井の熱貫流率が10W/㎡K」を[1]式に当てはめると、分子、分母が共に増えますが、分子の増加率より分母の増加率が大きく、計算すると建物内は29.4℃になります。
こんな感覚を体得できた後では、エクセルの積和計算をする関数” sumproduct()”をミスなく使え、図2のように迅速・省スペースに建物内温度の計算ができると思います。

図2
KEY Word: 室温計算, 室温予測, 熱収支計算, 熱貫流率, エクセル
2025.9.27 – UPDATE;2025/11/13
UPDATE;2025/11/13;図1とエクセルファイルを訂正しました



